SaaSを導入したのに、現場であまり使われない。入力項目が合わない。必要な帳票が出せない。結局Excelに戻ってしまう。こうした相談は珍しくありません。
ただし、SaaSが悪いと決めつける前に見るべきことがあります。多くの場合、問題はツールそのものではなく、導入前に業務フローが整理されていないことです。自社の流れが曖昧なままツールを入れると、SaaSに合わせる部分と合わせられない部分が混ざり、現場の負担になります。
合わないと感じる主な理由
既存SaaSが合わないと感じる理由は、だいたい次のどれかです。
- 入力項目が自社の管理項目と違う
- 承認や確認の順番が現場と合わない
- 例外処理が多く、標準機能では扱いにくい
- 必要な帳票やCSVが出せない
- 他のシステムとつながらない
- 権限管理が粗すぎる、または細かすぎる
- 高機能すぎて現場が使いこなせない
ここで大事なのは、「どの機能が足りないか」だけを見ないことです。現場のどの作業が増えたのか、どの確認が遅くなったのか、どこで二重入力が起きているのかを見る必要があります。
乗り換え前に業務フローを書く
別のSaaSへ乗り換える前に、今の業務フローを書き出してください。
見るべきポイントは、次のようなものです。
- 誰が最初に情報を受け取るか
- どの情報をどこに入力するか
- 誰が確認するか
- 例外が起きた時にどう処理するか
- 最後にどの帳票やデータが必要か
- 他のシステムへ何を渡すか
この整理をせずに乗り換えると、同じ問題を次のSaaSでも繰り返します。ツール比較の前に、自社の流れを見える化する方が先です。
選択肢は乗り換えだけではない
既存SaaSが合わない時の選択肢は、主に4つあります。
1. 運用を変えてSaaSに合わせる
業務の型が一般的で、現場の負担が大きくないなら、SaaSに合わせる方が早いです。独自ルールを減らせるなら、保守や教育も楽になります。
2. SaaS同士を連携する
問い合わせフォーム、案件管理、請求、会計などが分かれている場合、連携で解決することがあります。CSV連携やAPI連携、ノーコード連携ツールを使う方法です。
3. 足りない部分だけ補助アプリを作る
SaaSの大部分は使えるが、一部だけ合わない場合は、補助アプリが向いています。たとえば、現場用の入力画面だけ作り、裏側では既存SaaSやスプレッドシートへデータを渡すような形です。
このような補助アプリは、Power Appsのようなローコード系の仕組みで作れる場合もあります。ただし、道具から決めるのではなく、どの入力画面や確認画面だけを補えばよいのかを先に決めることが重要です。
4. 独自システムを作る
業務の流れが自社独自で、SaaSに合わせると現場の負担が大きい場合は、独自システムを検討します。ただし、最初から大きく作る必要はありません。まずは一番詰まっている部分だけを小さく作る方が安全です。
独自開発を急がない方がよいケース
独自システムは便利ですが、作れば必ず正解というわけではありません。
次の状態なら、まだ作らない方がよいです。
- 業務フローが人によって違う
- 入力項目が決まっていない
- 使わない帳票や項目が多い
- 現場の責任者が決まっていない
- 既存SaaSの設定を十分試していない
この状態で開発すると、作った後に「やっぱり違う」となりやすいです。まずは業務を整理し、試験運用で必要な項目を固めることが先です。
現場に聞くべき質問
SaaSの見直しでは、管理者だけで判断しない方がよいです。実際に入力している人、確認している人、出力された情報を使う人に聞く必要があります。
聞くべき質問は、難しいものでなくて構いません。「どの画面で止まるか」「同じ情報をどこに二度入力しているか」「使っていない項目はどれか」「本当はどの順番で作業しているか」「最後に必要な資料は何か」を確認します。ここで出てくる答えは、機能比較表には載っていない重要な情報です。
残すものと捨てるものを分ける
既存SaaSが合わないと感じても、全部を捨てる必要はありません。顧客情報の保管、請求処理、通知、権限管理など、使えている部分は残した方がよいことがあります。
一方で、現場入力の画面や確認用の一覧だけが合わないなら、その部分だけ補う方が現実的です。見直しでは「SaaSをやめるか続けるか」ではなく、「どの役割を残し、どこを補うか」と考えると選択肢が増えます。
ベンダーに相談する前に整理する資料
外部に相談する場合は、完璧な要件定義書を作る必要はありません。ただし、次の資料があると話が早くなります。
- 今使っているSaaS名
- 困っている画面や作業のスクリーンショット
- 現在の業務フロー
- 入力している項目一覧
- 出したい帳票やCSV
- 二重入力が起きている場所
- 現場で使われていない理由
これらがあると、乗り換えがよいのか、設定変更で足りるのか、補助アプリを作るべきか判断しやすくなります。
見直しは小さく始める
既存SaaSが合わない時に、いきなり全体を作り直すと負担が大きくなります。まずは、現場で一番時間を取っている作業、またはミスが起きると困る作業を1つ選んで見直してください。
小さく改善して効果が出ると、次に直すべき場所も見えます。ツールに業務を合わせるのか、業務に合わせて小さな仕組みを作るのか。その判断は、現場の流れを見てから決めるべきです。
自社のSaaSが本当に合っていないのか、設定や補助アプリで改善できるのか分からない場合は、現在の業務フローを見ながら一緒に整理できますので、ぜひ無料相談にお申し込みください。