業務を自動化したいと考えた時、RPAとAIのどちらを使えばよいのか迷うことがあります。どちらも効率化の道具として紹介されますが、得意な仕事は違います。
RPAは、決まった手順をそのまま繰り返すのが得意です。AIは、文章を読んだり、内容を分類したり、下書きを作ったりするのが得意です。
この違いを曖昧にしたまま導入すると、RPAでやるべき作業をAIに任せて不安定になったり、AIで整理すべき曖昧な情報をRPAで無理に処理しようとして止まったりします。
RPAは決まった手順を繰り返す
RPAは Robotic Process Automation の略です。人がパソコン上で行っている定型作業を、ソフトウェアが代わりに実行する仕組みです。
たとえば、次のような作業です。
- システムにログインする
- CSVをダウンロードする
- Excelへ貼り付ける
- 決まった形式で保存する
- メールに添付して送る
- 指定の画面へ同じ項目を入力する
RPAが得意なのは、手順が明確で、画面や入力形式が大きく変わらない作業です。同じ操作を毎日、毎週、毎月繰り返しているなら候補になります。
反対に、画面が頻繁に変わる、例外が多い、人の判断が毎回必要、入力内容がばらばらという作業は苦手です。
AIは曖昧な情報を整理する
AIが得意なのは、文章や会話のように少し曖昧な情報を扱う作業です。
たとえば、次のような作業です。
- 問い合わせ内容を分類する
- メールの返信案を作る
- 会議メモを要約する
- 社内資料から関連情報を探す
- 長い文章の要点を抜き出す
- 顧客向け説明文を整える
- FAQやマニュアルの下書きを作る
AIは、入力の表現が毎回少し違っても扱えることがあります。言葉の意味や文脈を見て、候補を出す作業に向いています。
ただし、AIは毎回同じ結果を必ず返すとは限りません。金額やステータスを正確に登録する作業、1文字の間違いが問題になる作業は、AIだけで完結させない方がよいです。
判断基準は情報の形と責任の重さ
RPAとAIを選ぶ時は、情報の形と責任の重さで見ると整理しやすくなります。
入力が決まった形式で、手順も決まっているならRPAが向きます。たとえば、毎月同じ形式のCSVを取り込み、決まった場所へ保存する作業です。
入力が文章や会話で、内容を読んで整理する必要があるならAIが向きます。たとえば、問い合わせメールを読んで、要件、期限、担当部署を整理する作業です。
さらに、責任が重い作業では人の確認を残します。RPAでもAIでも、契約、金額、顧客への最終回答、個人情報を含む処理は確認フローが必要です。
RPAが向いている仕事
RPAが向いているのは、手順が固定されている仕事です。
中小企業なら、次のような作業が候補になります。
- 定期レポートの作成
- 請求データの転記
- ファイル名の変更と保存
- 受注データの取り込み
- 勤怠データの集計
- 定型メールの送信準備
- 複数システム間の同じ項目入力
これらは、人が考えなくても手順どおりに進められることが多いです。RPAで自動化できれば、作業時間を減らしやすくなります。
ただし、RPAは画面変更に弱いことがあります。使っているSaaSの画面やボタン位置が変わると止まることがあります。止まった時に誰が直すかも決めておく必要があります。
AIが向いている仕事
AIが向いているのは、意味を読んで整理する仕事です。
たとえば、次のような作業です。
- 問い合わせメールの要約
- クレームや相談内容の分類
- 議事録からタスク案を作る
- 社内資料の検索
- 営業文書の下書き
- マニュアルの文章整備
- FAQ候補の抽出
AIは、文章の言い換えや要約に強いです。人がゼロから読む前に、論点や候補を整理してくれます。
一方で、AIの出力は確認が必要です。特に顧客に送る文章や社内判断に使う情報は、人が原文や根拠を確認します。
組み合わせると便利な場面
RPAとAIは、どちらか一方だけで考える必要はありません。組み合わせると使いやすい場面もあります。
たとえば、問い合わせ対応なら、AIが問い合わせ内容を分類し、RPAや業務アプリが管理表へ登録する流れが考えられます。請求処理なら、AI OCRで文字を読み取り、人が確認し、RPAが会計システムへ入力する流れもあります。
ただし、組み合わせるほど止まる場所も増えます。AIの読み取り結果が間違っていた時、RPAがそのまま登録してよいのか。エラーが出た時に誰へ通知するのか。人が確認する場所を先に決めておきます。
先に業務フローを書く
RPAかAIかを選ぶ前に、今の業務フローを書きます。
見るべきなのは、どの作業が繰り返しで、どの作業が判断なのかです。
たとえば、請求処理なら次のように分けます。
- 請求書を受け取る
- 必要項目を読む
- 金額や取引先を確認する
- 会計システムへ入力する
- 承認者へ回す
- 保存する
この中で、読む作業はAI OCRやAI、入力作業はRPA、承認は人という分け方ができます。業務フローを書かずにツールを選ぶと、自動化したい場所がずれます。
小さく試すなら1つの手順から始める
最初から一連の業務をすべて自動化しない方がよいです。
まずは、1つの手順に絞ります。毎週同じデータをダウンロードする、問い合わせを分類する、会議メモをタスク候補にする。小さく試すと、RPAが向くのか、AIが向くのか、人の確認がどこに必要かが見えます。
試行では、次の項目を確認します。
- 作業時間が減ったか
- エラーが起きた時に気づけるか
- 人の確認場所が明確か
- 例外処理が多すぎないか
- 担当者が保守できるか
自動化の目的は、ツールを入れることではありません。人が毎回やらなくてもよい作業を減らし、判断に使う時間を残すことです。
自社の業務でRPAとAIのどちらが合うか分からない場合は、まず今の作業手順を一緒に整理できます。業務自動化の進め方を確認したい場合は、無料相談からご相談ください。